羽立和広弁理士
羽立和広弁理士が解説します。
どうすれば商標登録になりますか。
その商品やサービスについての普通名称は原則商標登録を受けることができません。
では、どうすれば商標登録になるでしょうか。
1つは、普通名称を組み合わせることで商標登録になる可能性があります。
例えば、「スプリントプリント」は、商標登録になりました。
それに対して、異議申立てがなされましたが、維持されました。
以下、異議申立ての内容です。
本件商標は、前記第1のとおり、「スプリントプリント」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさ及び等しい間隔により一連に表されていることから、視覚上、一体的にまとまりのあるものとして看取、把握され得るとみるのが自然であり、いずれかの文字部分をもって分離して観察されるとはいい難いものである。
そして、本件商標は、その構成中の「スプリント」の文字が「競走・競泳・スピード‐スケートなどで、短距離を全力疾走あるいは力泳する瞬発力のこと。また、その競技。」の意味を、同じく「プリント」の文字が「印刷すること。印刷物。」(いずれも「広辞苑第六版」株式会社岩波書店発行)の意味をそれぞれ有する語であり、また、申立人が提出した証拠によれば、本件商標の指定商品中の第10類「医療用機械器具、歯科用機械器具」との関係から「スプリント」の文字が「顎関節症などの治療に用いられる口の中に入れるプラスチックの装置」を指称する場合があるとしても、両語を一連に表したその構成全体からは、直ちに「スプリント」の文字のみを捉えて、申立人が述べるような商品の普通名称を表示するものとして認識するとはいい難いものである。
さらに、当審において職権をもって調査するも、本件商標の登録査定時に,本件商標を構成する文字が、その指定商品を取り扱う分野において、商品の品質等を表示するものとして、取引上一般に使用されている事実は発見できなかった。
してみれば、本件商標は、その構成全体をもって一体的に把握される特定の語義を有しない一種の造語であると判断するのが相当である。
そうすると、本件商標は、その指定商品に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とは認められず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。
簡単に言えば、普通名称を組み合わせれば、造語になり、商標登録になる可能性があるとしていると考えます。