〇制度について
商標早期審査・早期審理制度とは、一定の要件の下、出願人からの申請を受けて審査・審理を通常に比べて早く実施する制度をいいます。
早期の権利化を希望する場合は、活用すべき制度です。
〇対象外
制度の対象外の出願としては、
1.マドリッド協定議定書に基づく国際商標登録出願(日本を指定国とする出願)
2.新しいタイプの商標(動き商標、ホログラム商標、色彩のみからなる商標、音商標及び位置商標)
3.2020年4月1日以降、立体商標の一部
上記は対象外となります。
〇現在の状況
現在は、商標登録出願して、1年程度で商標登録になることが多いです。
2年ぐらい前は、1年2ヵ月から1年半程度かかっていましたから、少しは早くなりました。
私の実務経験では、7年前ぐらいは、4ヵ月から半年程度で商標登録になりました。
5年ぐらい前から遅くなり始めました。
〇メリット
商標の早期審査制度を利用すると、2 ヵ月程度で商標登録になります。
そのメリットは、通常の審査・審理に比べて、審査結果・審理結果を早く得ることができます。
早期審査を申請した出願の平均審査順番待ち期間は、早期審査の申請から平均1.9か月(2020年実績)となっています。
中には、1ヵ月程度で登録になる場合もあります。
通常の出願と比べて大幅に短縮されています。
また、早期審理を申請した場合には、申請後、審理可能となってから平均2.5か月(2020年実績)で審決を発送されています。
平成29年から、ライフサイクルの短い商品・役務を扱う事業者等の早期権利化の要請にさらに応えるため、「一部の商品について既に使用している又は使用の準備を相当程度進めており、かつ、類似商品・役務審査基準等に掲載されている商品・役務のみを指定している出願」等を早期審査の対象に加えられました。
〇デメリット
一方、早期審査制度には、デメリットもあります。
上記のように、平成29 年から、「一部の商品について既に使用している又は使用の準備を相当程度進めており、かつ、類似商品・役務審査基準等に掲載されている商品・役務のみを指定している出願」に要件が緩和されました。
しかしながら、通常の出願は、全時点で実際に使用していない商品やサービスについて、一定の範囲で、願書に記載することができます。
そのため、早期審査の出願は、通常の商標登録出願に比べて商標権の範囲が狭くなってしまう場合があります。