立体商標とは何か?
平面商標と立体商標
「商標」とは、簡単にいうと、文字や図形等が、他人の商品又はサービスとを区別する目印、トレードマークのことをいいます。
以前は、立体的な形状は商標登録としては保護されませんでした。
そこで、平成9年4月、商標法の改正が施行され、立体的な形状が商標登録できるようになりました。
ちなみに、そのような立体商標と区別するため、立体的ではないものは、いわゆる平面商標といっています。
立体商標の誕生の経緯
商標の種類として、商品名などの文字だけで構成された文字商標、ロゴやキャラクターなどの図形等で構成された図形商標、文字と図形等の組合せの結合商標などがあります。いわゆる平面商標です。
しかしながら、立体的な形状は、商標登録として保護されていませんでした。
1つの例として、かに料理店における、「大きな動くかに」の看板を模倣した看板を、その他の業者が使用していた行為について裁判で争われました(「動くかに看板事件」昭和62年)。裁判では、模倣した看板が不正競争防止法の「出処の混同を惹起する行為」、「他人の著名な商品等表示を使用する行為」に該当するとして、看板の使用禁止、損害賠償の請求が認められました。
このように、例えば、看板、ファーストフード店の人形、飲料の瓶の形、乳酸菌飲料の容器の形など、立体的な形状において、どの会社の商品やサービスであるかを区別している場合があります。
特定の著名なファーストフード店の人形にそっくりな人形を、関係のない会社が使用したら、消費者は、その人形を見て、誤認する可能性があります。
外国では、以前から、こうした立体商標も、商標として認められ、保護できました。
そのような外国の影響もあり、我が国でも、識別力がある立体的な形状をした、キャラクター、瓶、容器、看板などについて、立体商標として認められ、保護されるようになりました。
ちなみに、平成9年以前は立体商標を保護できないため、立体を平面図形にしてから商標登録することもあったようです。
立体商標と意匠権のどっち?
立体商標は、平面商標と同じように、書類、願書を提出します。
立体商標を申請するとき、キャラクター、看板などの模型を特許庁に持参する必要はありません。
「立体商標」である旨を表示した上で、複数の角度から写した写真などを添えて提出します。
しかしながら、商標登録により、立体的な形状を独占的に使用できる、強い権利を有します。
そのため、立体商標は、平面商標と比較して、商標登録になるまでには壁があり、ハードルが高くなっています。
立体的なデザインについては【意匠登録、意匠権】でも保護が可能です。
立体物を保護する場合、商標権か、意匠権かのどちらがよいのかなど、お悩みのときはご相談ください。
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